ふたたび迷走中

今日は慈恵の主治医に日赤でサイバーナイフを実施する予定日を報告しに行ってきました。

実は今回、日赤でサイバーを受けることになるまでにもいろんな経緯があったんです。

日赤の先生にサイバーを受けたいとお願いしたとき、まず最初に困ったような表情で『Sさん、サイバー3回目だよね。3回目は頸動脈が許してくれないんじゃないかなぁ…さすがに僕も及び腰になっちゃうよ』とおっしゃいました。

いつものように笑顔で『Sさん、わかりました。やりましょう!』とは言ってもらえなかったことに不安がよぎりました。

そこで先生からの提案。
サイバーに踏み切るまえに3月に新しく認可された抗がん剤を試してみませんか?
透析患者に禁忌とは書いてないからつかえるはず。
と言われ、ひとまずサイバーの話は保留にして慈恵の主治医に話を持ち帰りました。

慈恵の主治医に電話で相談すると、確かに透析患者に禁忌ではないけど、そのお薬を使用するのはその前段階の抗がん剤を投与して効果が認められなかった人にのみ投与可能で、私は腎不全のためその前段階の抗がん剤が使えない時点で投与対象外ということでした。

抗がん剤が使えればサイバーまでワンクッションおけるかもと多少なりとも期待をし、また肩を落とすという感じ。

再び日赤に出向いてサイバーを受けるということになりました。

そして今日、慈恵の主治医に直接お会いして話をしてきたのですが…

先生から日赤の先生、3度目のサイバーやるといったらどんな反応でしたか?と聞かれ、及び腰でしたが、線量を落としてやってみましょうということになりました。と話したら…

えっ?あの先生が及び腰だったの?と。
私と同じ意外な感があったようです。

慈恵の先生は自分の患者では3度目のサイバーやった人がいないけど、日赤の先生ならあるかと思っていたんだけど…

Sさん。あの先生が及び腰だったということはね…と話が始まりました。

Sさん。もう一度じっくり考えようか。
まだサイバーまで日にちもあるし、いつ撤回してもいいんだよ。

Sさんだから、はっきり言うね。
実際に医療現場で診てきた経験からだけど、あなたは2回目のサイバーは上手く乗り越えて今に至っているけれど、2回目のサイバーで首の皮膚の血流が悪くなり、サイバーの副作用の首のやけどがそのまま治らず、サイバー終了後2週間くらいで救急にやってくる人も多い。

血流が悪いから、そのやけどが治らず、そこから皮膚の壊死が広がって、壊死した部分に、しかも腫瘍のところへは皮膚移植ができないから、なにも出来ず傷口にガーゼをあててベッドから起き上がることもできずに1~2週間で亡くなる方もいる。

Sさんは3回目に加えて傷の治りが悪いと言われている透析患者。
リスクは飛躍的に上がる。

僕の中には申し訳ないけど、Sさんがサイバーを受けたら頸動脈以前にこの経過をたどるようなビジョンが浮かんでしまう。
サイバーを受けたら夏までもたないんではないだろうか。
そうなったときに、Sさんがサイバーを受けたことを後悔するんじゃないかと思う。

Sさんには娘さんのためにも正直1日でも長く生きてほしい。
だから、もう一度よく考えて。

どのみち終わりはいずれ来る。
その終わりを選べるのは今だけ。
緩やかになだらかな曲線を描いて終わりを迎えるのか、急激な曲線で迎えるのか。
究極はそういうことかと思う。

最後のワンチャンスとあなたは言うけど、チャンスはどこにもないのかもしれない。

小国が大国にミサイルひとつで戦争を挑むようなものじゃないかと思う。

サイバーを選んでがんと戦うというのもわかる。
けどね、サイバーを選ばずにがんと共存しながら少しでも長く生きていくという方法もある。

戦うことが勝者で、戦わないことが敗者ではない。
戦わないことを選ぶのもまた勇気。

それでもあなたが戦うことを望むなら、それはあなたの人生だから良いと思う。

ただ、僕の中ではサイバーやって上手くいくかなという思いは正直なところ5%。それくらい厳しいと思う。

最終的にSさんがサイバーを選んでも、選ばなくても僕らは出来る限りのバックアップをするから、よく考えて決めてほしい。


と。こんな感じの話でした。

結構なシビアことを言われましたが、ひとつも嫌な気持ちにはならず、私と向き合ってくれてるなと感じながらお話を聞くことができました。

実は同席していた看護師さんが途中で席をたち、少しして戻ってきました。

あとで分かったのですが、看護師さんは主治医が私に話す内容に驚き、私がお世話になっている院内のソーシャルワーカーへ電話をかけて診察後のメンタルケアを依頼していたそうです(笑)私が泣くこともなく話を聞いていたことにも驚かれてましたが(笑)

その看護師さんはベテランで私の主治医のこともよーくわかっている方です。
他の患者さんへの告知をする際も、丁寧に言葉を選んで慎重になさるそうで、今回のようにここまで突っ込んだ話をしたことに驚かれたようです。

ワーカーさんから聞いたのは
『看護師さんから、うちの先生がSさんにとんでもないこと話してますっ!このあとそちらに回ってもらいますのでSさんの今の気持ちを聞いてあげてください』
と慌てた電話がきたんですよー。と(笑)

ワーカーさんもどきどきしながら私を待っていてくれたようでしたが、ごく普通に現れた私に驚いていたようです。

病院をあとにして、電車の中でも透析中もずっとずっと考えてました。

そもそも私は何のために生きたかったっけ。
たまきを1日でも長く見守るため。

サイバー受けることにしたのは?
少しでも長く生きるため。

けど、今日の話をきくとサイバーは寿命を縮める可能性の方が高そうだな。

いちばん最初はサイバーは受けないって思った。
けど、余命を聞いて迷いが出た。
ワンチャンスにかけようとサイバーを選んだ。
でも、チャンスはそもそもどこにもないのかもしれない。

回りにもそう話してがんばると言った。
回りは選択肢があるなら治療を受けてほしいと、がんばってと言ってくれる。

回りは戦う私を望んでいるのかもしれない。
諦めないでほしいと思ってくれているんだと思う。

でももし、それが果てしなく勝ち目のない戦いとわかっていたら戦うことを止めてくれるんじゃないかな。


今日、ここまで踏み込んだ話を聞いたらサイバーへの気持ちがガラガラと崩れてしまった。

先生に悩みますと話したら、それは当然なこと。サイバーをやると決めても、受けるその日まで迷っていいと思う。とおっしゃってました。

けれど、今日先生がここまで言ってくれたのは本当に勝算がないんだなと改めて感じたし、初めて先生が先生の中でのサイバー成功率は5%と数字で示してくれた。

はっきり数字で言われると、実感も違う。

日赤に行き、サイバーの日取りを決めてきてもなお先生からこういった話が出るということは、先生の中の医師としての警報が鳴っているんだろうな。

先生に命を預けての手術から5年。
先生の話を受け入れる時なのかもしれないな。
これほどの話を聞いて、それでもサイバーをやりたいと思う材料が見つからない。


私の両親は今まで戦い続けてきた私の苦悩を知ってるから何も言わない。
戦うといっても戦わないといってもきっと寄り添ってくれる。

前回のブログで後戻りはできないと書いたばかりなのに、また迷っています。


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by tamaki-tamaki | 2017-05-12 20:31